アンの美人化計画
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読者は知っている。「赤毛のアン」の初期では確かにではアンは「美しくはない子」として描かれていることを。しかも他の人もアンの容姿についてあんまりいいことを言ってない。
だけれどいつもまにかアンは「比較的美人」になったり「魅力的」になったりして大学時代はモテまくるわ「も~おばちゃんかなんわ~(関西のノリ)」しかしこの「みにくいアヒルの子」的変身は女性としてはとっても興味深い変化ですよね。ここではアンの美人化計画とともにアンの美しさってなんなんだろうということを考えてみることにしました。
本とページ アンの容姿について 考察
「赤毛のアン」p20
アン11歳 年は11歳くらい。(略)色褪せた茶色の水兵ぼ鵜のしたからはきわだって濃い赤っ毛が、二本の編み下げになって背中にたれていた。小さな顔は白く、やせているうえに、そばかすだらけだった。朽ちは大きく、おなじように大きな目は、そのときの気分と光線のぐあいによって、緑色に見えたり灰色に見えたりした。(略)この子のあごがたいへんとがって、つきでており、大きな目にはいきいきとした活力があふれ、口もとは、やさしく、鋭敏なこと、額はゆたかに、ひろいことなど(以下略)
虐待されて育ってきたといっていいアンは、自分の容姿に対する自尊心が低い。でもお得意の想像力で綺麗なフリを想像している。モンゴメリの少女時代だった19世紀の終わりごろ、北米では「ギブソンガールズ」という架空の「国民的美女」キャラクターが大変な人気だった。背が高く、ウエストが細く、でも胸と尻は大きく、額は広く、口元は弓形、そして小さくまっすぐな鼻。髪はまっすぐで黒くて量が多くてポンパドゥールに結っている、というのが「超流行り」だったらしい。アンの見かけをよく読むと、顔に関しては「広い額」、「やさしい口元」そして後に出てくる「形のいい鼻」など、美人になりえる要素があることが分かる。でも当時は「ふっくら」しているのが美人とされていたようで、アンも「わたし、きれいでぽちゃぽちゃふとって、ひじのところにえくぼができている自分を想像するのが大好きなのよ」(p22)とマシュウに言っている。
「赤毛のアン」p23 アンが「こんなにみっともないんですもの。だれもあたしと結婚したいと思う人なんかないと思うわ。」
アンは自分の容姿に対して非観的なのだが、このおかげで彼女は将来外面だけでなく内面も磨き、美しい女になっていくのだ。後にアンには複数の崇拝者と求婚者が出ることを今の彼女はしるよしもない。
「赤毛のアン」p69 ブリュエット夫人がアンを値踏みして、「フム、たいして見ばえはしないが、しんは強そうだね。」
この当時でもアンは内面から放つ、なにか不思議な魅力があったようだ。ブリュエット夫人のような凡人でも感じ取れるようである。
「赤毛のアン」p86 マリラが「ダイアナはとてもきれいな子で、目は黒いし、顔はばら色だよ。」アンはそれに対し「自分が美人なのがいちばんすてきだけれど、それはあたしにはだめだから・・・」
ダイアナはまさにこの時代の美人の代名詞のような子供だったようだ。アンは「美人の友達」を持つということにやたらこだわっている。「美人」は伝染るらしいからそんな効果を期待しているのか??
「赤毛のアン」p94 リンド夫人が「きりょうで拾われたんでないことはたしかだね。この子はおそろしくやせっぽちだし、きりょうがわるいね。こんなそばかすってあるだろうか。おまけに髪の赤いこと、まるでにんじんだ。」
リンド夫人、きっつー。さすがのアンも激怒。
「赤毛のアン」p156 アンが学校でプリシー・アンドリュウスに鼻がとてもすてきだと言われたと言う。実はマリラもアンの鼻はすばらしくいいかっこうだと思っている。
これがアンの「格好のいい鼻」に対するコメント第一号。アンの鼻についてのコメントは作品中ずっと続くのだ。
「赤毛のアン」p161 ギルバートが初めてアンを観察。あの小さな、とがった顎をして、学校中のどの女の子も持っていないような大きい目をしているアンをこちらに向かせようと必死。
この時点ではギルはアンの容姿に興味を持っただけだったのだが、この直後、激怒したアンに石盤で頭を殴られて恋におちる。恋愛は容姿のみで始まるものではないということを物語っている。
「赤毛のアン」p317 ダイアナたちに「あんたの髪は切る前よりも、ずっと色が濃くなった」といわれ感激。
人参のような赤い毛がだんだんと濃くなってきているらしい。現に16歳になったころには「金褐色」になっているのだ。子供時代には毛の色が少々薄くても大人になって濃くなることはよくあるのだ。
「赤毛のアン」p332 マシュウに憧れの茶色のふくらんだ袖のドレスを買ってもらっていらい、アンは流行りものの服をつくってもらっている。ここではアンは流行の型の紺色のドレスと青いビロードの亡しで金色のふさがついている帽子をつくってもらっている。
マシュウのおかげでアンのファッション生活の幕開けとなる。アンはここあたりから「雰囲気美人」路線をまっしぐら。
「赤毛のアン」p363 15歳になり成長期のアンは一夏で背丈が2インチ(約5センチ)伸びている。アンは背が高く、顔が小さく、背すじもピンとして、真面目な目つきをしているらしい。
いつの時代も背が高いというのは美人の要素らしい。
「赤毛のアン」p381 服装にかけての趣味がいいので有名なダイアナがアンをドレスアップ。髪はふたつに分けて編んでまん中へんで大きな白い蝶リボンでゆわえて額にカールをださずにただふっくらさせておく髪型がアンに一番似合っているらしい。そしてダイアナに「あんたのスタイルにはどこかとてもすてきなところがあるのよ。頭のあげ型に威厳があるのね。それで全体の格好がいいのよ。」
後にアンは髪型にはうるさい人になる。ダイアナにみっちりと特訓をうけて自分の魅力を最大限に引き出す努力をするようになったのか?ダイアナの話からするとアンは顔よりも全体の雰囲気やスタイルのよさが長所のようだ。
「赤毛のアン」p390 音楽会で詩を暗唱するアンを見て、ボストンの有名な画家が「あのすばらしいチチアンの髪をしている少女」を描きたいといっている。
アンは赤毛が悩みの種なのに、他の「分かる人」にはとても魅力的に映っているのだ。
アンの青春p5
アン16歳 背の高い、ほっそりした少女がすわっていた。(略)灰色のまじめな目、髪の色は「金褐色」であった。
「金褐色」(auburn)はちょっと濃い紅茶のような色。アンは詩の世界のうっとりしている。だがこの直後乱入してきたハリソンさんに「赤毛のあまっちょ」と言われ、「はげているよりまし」と言いかえす。この率直な、ちょっとユーモアのある物言いもアンの魅力の一つだ。
アンの青春p78 アンは光りの子であった。だれの生活の中へでもアンはかならず、ほほえみと愛の一言を日光のようにさしこませる。
見かけのよさも大事だが、人との接し方や性格も美人になるうえの大切な要素なのだ。
アンの青春p96 ハリソン氏が「自分はありのまま事実を話す主義だ」と言っているのに対し、何故かアンは「あたしの髪が赤いといつもおっしゃるけど、あたしの鼻がいい格好だというkとは一度もおっしゃたことがないわ」という。
アンよ、またあんたは鼻のことを・・・
アンの青春p201
アン17歳 肥りすぎて困ると嘆くダイアナに「かわいらしいえくぼがあるからいいじゃないの」と言いつつも「あたしだって鼻にそばかすがあるけれど、鼻の形はわりあいにいいでしょう?」
アンは鼻が唯一のチャームポイントと思っている割りには鼻のそばかすになやんでいる。アンはそばかす対策の為にレモンジュースを愛用。
アンの青春p239 ギルバートがどれだけアンに夢中かを語っているシーン。ギルはアンの悩みの種の七つのそばかすまでふくめて彼女に夢中だ。ギルの目には「大きな澄んだ灰色の目、花のように美しい、優美な顔の少女」に見えるのだ。
ちなみにアンの最大の魅力はほかのアヴォンリーの娘たちのように、ちょっとしたことでやきもちをやいたり、見せかけの嘘をsついたり、敵対意識をはたらかせたり、機嫌とりをするような、くだらなぬ真似をしない、純粋な性格らしい。
アンの青春p246 アンはそばかすをとろうと一生懸命。薬をぬったりして鼻の皮が一枚むけてしまってたりする。自分で雑誌で読んで作ったそばかす薬を今回も使うのだが、なんとそれは染料だった。
「自慢の鼻」をなんとかもっと綺麗にみせたい乙女心の努力。泣けてくるねえ。
アンの青春p330 デイビーがアンに遊び仲間の女の子のグレイシーは獅子っ鼻あだからお嫁にもらいたくない。アン姉ちゃんのような格好のいい鼻の女の子がいい、と言う。
あ~もうここまできて「鼻はもういいから」と言いたくなる。一体どんな鼻をしているのか??
アンの青春p337 シャーロッタ四世はアンが美人だと思っている。アンの話ぶりや表情、しぐさなどを真似してみたり、上品な顎のおしかげん、星のようにさっと輝く目の表情、風にしなう枝のような歩き方をぜひマスターしたいと思っている。客観的にみれば頬の紅いゆたかな黒髪のダイアナの方が美しいのだが、アンに「きれいでなくてもいいからお嬢さんのようになりたい」と言う。アンは褒めてるのかけなしているのか分からない賛辞には慣れているらしい。
アンに対する人の意見はまちまちで、アンが美しいときいた人は会ってみてがっかりするし、アンが不美人だときいていた人もびっくりするらしい。アンは美人の定義にはあてはまらないけれど一種の捕らえ所のない魅力と、すぐれた人柄、そしてアンにただよう未来に向かって伸び続ける「気」みたいなものを彼女を美しくさせているらしい。
アンの青春p349
アン18歳 ポールのかっこいいロマンスグレーのお父さんのアービング氏に褒められて赤くなったアンを見てアービング氏は赤い髪とすばらしい目をもったアンのような美しい娘を見たことがないと思う。
画家のおやじもそうだったけど、ア-ビング氏のような世間なれした酸いも甘いも味わったような大人にはアンの魅力はすごく分かるのだろう。
アンの青春p374 ミス・ラベンダーの結婚式でドレスアップして自信満々のシャーロッタ四世がアンの「やわらかな、全身にまとわりつく純白の衣装をまとい、波打つ赤い髪に星のような花をさしたアンの背の高い姿」をみてがっかりして「いくら練習してもああいううふうにはなれない」と思う。
アンはスタイルがとてもいいらしいので、体にぴったりとつくドレスが似合うようだ。白という色も赤毛の彼女には美しいコントラストなのだろう。
アンの愛情p10 ここからアンの大学時代。入学前のアンとダイアナが将来の話をしている。ダイアナに「あなたはきっとお金持ちと結婚する。そうして得意の鼻をうごめかして若い頃の友達なんてみんな軽蔑しちゃうわよ」とからかわれ、自分の鼻をなでながら「あたしの鼻はまったく素敵だけど、うごめかしたりしたらぶちこわしだわ。ぶちこわしてもあとが困らないほど、美しいところなんてたくさんは持ち合わせてはいないから・・・(以下略)
初頭からまた鼻の話です。アンは「自分のチャームポイントは鼻」とはっきり自覚している。
アンの愛情p19 大学出発へ向けてのお別れパーティで、慎重の服を着て言ったアンは、ジョシー・パイに「あんたのあたらしい服はなかなかよく似合うわよ、アン。それを着てると、ほんとうにちょっとばかり美人みたいにみえるわ。」と言われる。
ジョシーの厭味にもすっと受け答えができるようになったアン。ジョシーは、ここではもう完全にアンに負け、やきもちをやいている。
アンの愛情p29 夕方の散歩を楽しむアンとギル。ギルはアンにべたぼれしているのだが、アンのほっそりとしたきゃしゃな姿を見て、白いあやめを連想する。片思い(?)のギルはため息をついている。
アンは鼻もすごいけど体の線もきれい。
アンの愛情p54 フィリッパ・ゴードンと友達になったアンとプリシラ。フィルに「あなたの鼻はひどく素敵よ、アン・シャーリーさん。」と言われる。
また鼻です。
アンの愛情p100 アンは大学でもてまくる。「宵の明星のように魅惑的な、灰色の目をした赤毛の女子学生」のアンをギルが必死で攻防。そばによる男は片っ端から斬るというマメな努力をしている。
キャンパス一ポピュラーな女の子フィルの友達になったアンは、キャンパス内の社交界的地位の頂点に立つ。おそらくキャンパス内でも有名人だったんだろう。
アンの愛情p131 アトッサおばさんの家へ訪問したアンとダイアナ。おばさんの暴言にただ唖然とする。おばさんはアンに「あんたさんは帽子をかぶらんなさらなくてはいけませんよ。鼻に目もあてられないほどそばかすができてるじゃあありませんか。おやまあ、あんたさんは赤毛なんですか!」と言っている。
子供の頃ならブチ切れしたであろうアンも、大人になったのでおとなしく聞いている。アンは「アトッサという名前じゃあ仕方ない」とわけのわからない理屈で収めてしまっている。
アンの愛情p217 おでかけするのに着飾ったフィルに対し、心からのほめ言葉を言うアン。フィルに「あんたには微塵もねたみがないのね」と言うフィルに対し、ジェムシーナ伯母さんが「ねたむ必要がありますか?アンはあんたほど器量よしではないかもしれないけれど、鼻の格好はアンの方がずっといいですよ」フィルはそれに付け加えてアンの髪の毛の生え際、「落ちそうで落ちてこないカール」をほめている
アンは「この鼻のおかげでなぐさめられている」と返している。素直に同意して、ついでにもっとほめてあげている所にフィルの人のよさが出ている。
アンの愛情p265 リセプションに、フィルの刺繍したバラ模様のクリーム色のドレスを着ているアン。周りの少女の羨望の的になる。 フィルにも「十のうち九夜まではあたしのほうがわけなくあんたより光り輝くけど、十番目に突然あんたはぱっと花が開いたように、あたしに顔色なからしめるのね。」と言わせている。服のせいだというアンに、フィルは「このあいだ燃えるように美しかったときだって、リンドのおばさんがこしらえた古い青のフランネルを着ていた」と主張。
フィルって素直だなあ・・・。ここらへんで、アンの美しさは表面的なものでなく、中から輝き出るものだということが証明されている。そして女は「自分が美しい」と思っているときが一番美しい、ともいえる。
アンの愛情p270 クリスチン登場!ロイとパーティに来たくせに、ギルのつれてきたクリスチンの美しさに呆然とするアン。
「でもあの人の姿はあたしほどよくないし、鼻はたしかによくないわ。」と自分を慰めるアン。鼻だけでなくてスタイルも自負してたんすか。
アンの愛情p298 夏休みのバイトでバレー・ロードに就職したアン。下宿先の女主人ジャネットに「赤毛」と言われ、ムッとする。
でも「赤褐色という言葉がジャネットの語彙になかったのかも」と一人で結末をつけることにしたアン。そうそう。私たちはそんなポジティブ思考がすきなのよ!
アンの愛情p302 ジャネットの恋人ダグラス氏に「祈祷会の時にあなたをつくづく眺めていたのですよ、お嬢さん。そしてなんていい娘さんだろうと思っていたのです」と言われる。
通常ならセクハラだと怒りまくるアンだが、氏の人柄と言い方に素直に賛辞として受け取る。やはり日ごろの心がけと言い方が大切なのだね。
ここまでの考察
やせこけた「醜い」11歳の孤児だったアンがなんと7年の間に「美人」の部類に入ってしまっている。本文にあるように、アンの美しさは外見だけでなく、内面から強く輝きでるものの方が強いようです。写真でみると美人かブスか分からないけど実際にあって話しているのを見ていると美人だなあと思える部類の人のひとりでしょうか?シャーロット4世がいうようにアンはスタイルがいいし、姿勢もピンとエレガントで、やはり「静」よりも「動」の美人なんでしょうね。
なんかもうこの時点でアンは結構美人なのでは??って感じですが、でもまだ甘い!まだまだアンの美人化計画は続くわよ。まっててねえ~。